基本的な戦略的連携の形態をおさえておきましょう。戦略的連携(アライアンス)は、資本関係の結びつきの強弱によって、①買収、②合弁会社(ジョイントベンチャー)の設立、③事業連携、④協力的ネットワークの四つに分類することができます。

①買収

買収は、最も強固な述携を組む手段である。買収には会社の株式を譲渡する方法と、第三者割り当てによる新株の発行を行って引き受けてもらう方法の二つがある。一言に買収といっても、支配権を獲得させるような規模の買収から、資本提携のために少数の株式を移動または発行する買収などいろいろなものがある。近年の買収成功例としては、ルノー社による日産自動車の買収が挙げられる。カルロス・ゴlン氏の派遣による同社の経営再建は有名だが、この買収には商品企画や戦略、開発、購買などの分野における相乗効果や地域的補完関係の実現などにも狙いがある。

②合弁会社(ジョイントベンチャー)の設立

合弁会社とは、二社以上の会社が資金を出し合って設立する会社のことをいう。たとえば、Aという会社とBという会社が資金を出し合ってCという会社を設立することをいい、エリクソン社やノキア社などが無線情報制御装置の開発に向けてシンビアン社を設立したケースなど、身近にも多くの事例がある。合弁会社では、持ち株比率をどうするかによって、主導権をどちらが握るかが決まる。もし、事業が思うように運ばずに連携を解消させたい場合は、買収のように自社あるいは相手企業自身の株式を保有しているわけではないため、比較的スムーズに事が運ぶというメリットがある。

③事業連携

資本関係がない形で、契約によって協力関係を確立するもの。共同研究や共同開発、生産での提携、販売提携などさまざまなケースがある。左図は半導体企業の主要な提携関係を示しているが、かなり複雑な構造になっていることがわかる

④協力的ネットワーク

資本関係がなく、契約もない形で協力関係を確立する緩やかな連携。たとえば、マイクロソフト社と開発業者とのネットワークによるシナジー関係などがこれに該当する。なお、契約も資本関係もないため、両者が本気になって事業推進するのは大変難しいといえる

技術の進化におけるアライアンスの役割

技術開発の段階を三段階に分けて戦略的連携の役割を説明できます。

まず技術開発の初期段階での役割は、市場と技術に関して不確実性が高い段階であるため、アライアンスの役割は技術動向を効果的に追求して、技術および市場をモニターし、学習していくことであるといえます。

技術開発の中期段階では、初期段階よりも不確実性は緩和され、将来有望な技術が複数出現しています。ただし、ここではまだ、どの技術が成功するかまでは判定できません。このような段階では、まさにオプションの考え(複数の選択肢を持つこと)が有効です。不確実性に対処するために、将来に向けて選択肢を多くしておくことが重要なのです。企業にとっては、ある特定の技術に絞り込むのにはまだリスクが高いうえ、あまり多くの技術に関与することもできないため、アライアンスを利用することになります。つまりこの段階でのアライアンスの役制は、将来の選択肢を広げることであるといえます。

次の技術と市場の.不確実性が少なくなった段階では、アライアンスは競争優位を構築する役割を担うことになります。この段階ではライバル合業も多数出現しているため、アライアンスによって自社の強みをさらに強化、あるいは弱みを克服して、業界で最も優秀な能力を携えた企業間関係をつくり、業界において確固たる自社のポジショニングを形成して市場にアクセスし、顧客のニーズに応えていくことになります。